放射線と汚染

2015年5月12日| Mirion Technologies

放射線を浴びると放射性物質に汚染されるいう誤解がよく生じます。通常はこれは事実とは異なります。そこで、放射線と放射性物質の違いを理解することが重要になります。

放射性物質に汚染されるとはどういうことか？

ある原子が過度のエネルギーや質量によって不安定になり、ある時点で崩壊して放射線を放出する可能性がある場合、その原子は「放射性を有する」と言われます。物質や材料が放射性物質でできている、あるいは放射性物質を大量に含んでいる場合は、「放射性物質に汚染されている」と言われます。これらの放射性物質は、バナナ、年代物の陶器に含まれるウラン釉薬に含まれる、あるいは天然ガス開発の過程で発生するNORMなどであり、放射性元素が崩壊するにつれて放射線を放出します。

時間が経つにつれて不安定な原子の数が減少すると、物質の放射性は減少します。この時間は、さまざまな放射性元素の「半減期」で測定されます。これは、特定のサンプルに含まれる原子の半分が崩壊し、放射線を放出するまでにかかる時間です。例えば、炭素14の半減期は5,730年なので、この時間が経過すると、100個のC-14原子が50個のC-14原子と50個の窒素14原子に変化することになります。医療でトレーサーとして使われる、放射性同位元素のインジウム111の半減期が2.8日であるのとは対照的に、同位元素のインジウム115の半減期は441兆年です。一般的に、放射性物質のサンプルは7回の半減期で完全に崩壊すると考えられていますが、その時点でも十分な大きさの開始サンプルがあれば、0.78％程度は残ると考えられます。しかし、医療で一般的に使用されるような少量のサンプルでも、十分な目安になります。

汚染とは何か？

簡単に言うと、放射能汚染とは、本来あるべきではない場所に放射性物質があることです。これには、ダーティボム（汚い爆弾：放射性汚染物質を拡散させるのが目的の爆弾）による放射性降下物から、研究室の作業員が放射性溶液をズボンにぶちまけて家に持ち帰ることまで、あらゆることが考えられます。最も一般的な汚染源は、医療分野で使用されるような放射性核種の製造におけるミスや事故によるものです。

表面の汚染は、「固定のもの」または「除去可能なもの」のいずれかに該当します。固定汚染、つまり除去できない汚染の例としては、金属のリサイクルが挙げられます。リサイクルされた金属のバッチに放射性物質が含まれていた場合、最終製品にはその放射性物質が混入し、永久的にその一部となります。除去可能な汚染とは、もちろん除去可能なものであり、例えばルースパウダーなど、洗浄し安全に処分できるものです。放射性廃棄物は、商業利用のために再処理することで処分することができますが、それが不可能な場合には、汚染がこれ以上拡大するのを防ぐことができるコンクリートや岩盤に埋めることが最善の解決策となります。

放射線を浴びると放射性物質に汚染されるのか？

放射線を浴びても、直ちに放射性物質に汚染されるわけではありません。他の物質を直接放射性物質にすることができる唯一の放射線は中性子線で、これは一般的に原子炉内や核爆発でのみ検出されます。このような状況にいる人は、明らかに、より大きな問題に直面することになります。

ただし、放射性物質を摂取すると、少なくとも一時的に放射性物質に汚染される可能性があります。これは、多くの放射性物質を医学的に使用する背景にある原理で、イメージング、診断、その他の分野で役立つものです。関係する元素の半減期が短いことと、多くの放射性元素を体内で自然に処理する手段があることから、通常、個人の放射能は長く留まりません。ただし、関連する同位元素や治療の有効性に応じて、特定の種類の汚染が人の臓器や骨に永久的に蓄積される可能性はあります。