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ラボ実験4:コンプトン散乱

原子核物理学実験用Lab-Kitsを搭載

目的:

  1. コンプトン散乱後のガンマ線エネルギーはどのように変化するのかを示します。
  2. ガンマ線が散乱した後に生じ得るエネルギー範囲を示します。

必要な機器:

理論の概要:

角度の関数としての散乱エネルギー

実験1でも説明したように、コンプトン散乱では、光子のエネルギーEγと運動量Eγ/cがm0c2の電子から非弾道状に散乱します。光子エネルギーの一部は電子に向かって伝達し、光子はエネルギーEγ′を減少させながら角度θにわたって散乱します。

コンプトン散乱は次式で表せます。

この式は以下に示す直線の方程式に書き換えられます。

この実験では、137Cs線源から662keVのガンマ線が入射される際のθの関数としてのEγを測定します。検出器をθ=約40°に設置した場合の実験器具の設置例を図4-1に示します。

図4-1:散乱実験台上でコリメートされた137Cs線源とNaI検出器。

ヒント:この実験では、単位にKeVを使用して、電子の質量は511keV/c2とします。

予想されるエネルギー量を図4-2に示します。

図4-2:初期光子エネルギー662keVにおける散乱角の関数としてのコンプトン散乱光子エネルギー。

角度分布

角度の関数としての散乱確率は微分断面積と呼ばれ、コンプトン散乱の場合は理論上クライン・仁科の公式(単位は平方メートルあたりのステラジアン(m2/sr))で表されます。

ここでは、

ここでは137Csの電子半径で一般的な「r0 = 2.82 x 10-15m」を使用します。

微分断面積dσ/dΩと角度の相関図を図4-3に示します。単位はステラジアンあたりのバーン(b/sr)で表され、1バーンが10-28m2に等しいものとします。

図4-3:光子エネルギー662keVに対するコンプトン散乱の微分断面積

実験4の手引き:

1. ProSpectソフトウェアを使用して検出器に接続します。実験1の推奨事項に従ってMCAの設定とバイアス電圧を構成します。検出器のエネルギー校正が正しく設定されていることを確認します。

2. コリメートされた137Cs線源治具が1800のマークの位置に設置され、アルミニウム散乱柱の方向に向いていることを確認します。実験中、線源治具はこの位置に固定します。注意:実験中は周囲の状況を慎重に確認してください。線源を自分や実験室内の他の人に向けてはいけません。

3. コリメートされたシールド付き検出器を散乱台上に設置します。検出器アセンブリの向きを0度のマークからアルミニウム散乱柱の方向に近づけていきます。顕著なピークが表示されるまでスペクトルの取得を続けます。ヒント:計数率を高めるために、追加の検出器コリメータースリットを外して実験を行うこともできます。角度分解能を向上させるには、検出器コリメータースリットを垂直方向に使用し、良好な統計が得られるまで計数時間を延長します。

4. 検出器アセンブリーが160度になるまで向きを変えながら、さまざまな角度でステップ3を繰り返します。

5. 測定ごとの散乱ピークの重心エネルギーを決定します。

6. スプレッドシートで散乱ピークのエネルギーを角度の関数として図示し、図4-1の結果と比較します。

7. 散乱ガンマ線エネルギーの逆数(1/E')を(1-cosθ)の関数として図示します。グラフと方程式4-1を使用して、元のガンマ線エネルギーと電子の静止質量を決定します。これらの値がここまでの実験で得られた値と一致していることを確認します。

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